イギリス、ロイヤルウースターのブラッシュアイボリーのティーセットです。
ティーポット、ミルクポット、シュガーポットの3つからなる可愛くて美しいセットです。
製作は1893年です。
御覧のようにメロンをモチーフにつくられていますが、表面はマットなほんのりと肌色がかったアイボリー色をしています。
しかし蓋や、ハンドル、葉のモチーフは、少し黄色味がかったアイボリー色に温か味のあるサーモンピンクがグラデーションとして施されています。
蓋の取っ手やハンドルは、蔓(つる)に見立ててしつらえられており、蓋や胴部には立体的に蔓や葉が象られ、金彩が濃淡で施され本物の蔓のように仕上がっています。
また葉脈や縁どりも金彩が施され、まさにメロンに見える仕上がりです。
1890年代にロイヤルウースターは貝や木の幹など有機的な形がベースとなる高級な磁器を制作しました。
これはヨーロッパのアールヌーボーの影響を強く受けたものです。
またそれらは本物のサンゴや象牙、木、籐などの天然素材から作られたかのようにデザインされています。
「ブラッシュアイボリー」というのは、ロイヤルウースター独特のもので1900年までに大変な成功をもたらしました。
その制作はとても複雑で費用のかかる行程を経ています。
素地の上からかけられたマット(艶のない)なアイボリー色にサーモンピンク色へグラーデーションした色が特徴です。
これは最初に鋳型でかたどられたパリアンの素地の内側に光沢のある象牙釉を塗り、次に外側を覆うために艶のない黄色がかった釉薬に浸した後、新しく考案されたエアブラシでソフトアプリコット釉を部分的に噴霧して仕上げたものです。
ブラッシュアイボリーの制作は1914年までです。
このポットセットもブラッシュアイボリーの名品と言えるでしょう。