イギリス トーマス・ウェッブ 「ニュースカルプチュアウェア」のクリスタルボウルです。
19世紀のイギリスのガラスの中で、ロッククリスタルではなく、ロッククリスタルガラスは1870年〜90年頃大きなウェイトを占めます。 (なかには1910年頃までつくられたテーブルグラスで、エドワーディアンエングレイブドロッククススタルガラスがあります。ウェッブのものが代表的です。)
つまり水晶のかたまりから掘り起こす古い歴史を持つロッククリスタル、これに似た雰囲気を持つものをガラスでつくったいわゆるロッククリスタルガラスがトーマス・ウェッブやスティーブン&ウィリアムズなど代表的なガラス会社でつくられました。
デザイナーもエングレーバーも歴史に残る作家たちのものが多く遺されています。
手の込んだモチーフデザインに深く巧妙な彫り込みは実に心惹かれるものがあります。
ここに紹介するボウルは19世紀末のロッククリスタルガラスではなく、1931年から数年間トーマス・ウェッブが作った「ニュースカルプチュアウェア」と名付けられたシリーズです。
ロッククリスタルガラスほどの厚味があり、非常に絵画的な蓮の花と葉が多彩にカメオ彫りされ、周囲はこれも深い全面カッティングで、蓮を浮き立たせています。
単なる図案化されたモチーフ(蓮)ではなく琳派風の造形が全体に美的な品格を高めています。